GiftedHero_03_才能側のトビネズミ

あたしには、

なんでも出来た。


正確に言うと、

初めてのことでも

とても上手にこなせた。


だから、

いつもヒーローだった。


……最初だけは。



『才能じゃ

 努力に勝てない』


ってよく聞くけど、


あたしはまさに

才能側の人間なのだ。


最初は決まって、

「天才だね」なんて


キラキラした

賞賛の嵐が

巻き起こるのだけど、


最後は

お決まりの展開で、


努力の人が

勝利する。


そして、

「無様だな」なんて


呆れや嘲りを

一身に受けた後、


台風一過のように、

誰にも

見向きもされなくなる。


だから決めた。


演じ続けてやる。


キラキラのあたしが

みんなの望みなら、


キラキラしてなきゃ

見てくれないなら、


輝き続けてやるんだって。


影の部分を

見せなければ、


努力の前を

走っていれば、


いくら搾取されようと

負けることはない。


もう、

有無は言わせない。


えぐる言葉は

聞きたくない。


泣かないって、

決めたんだ。


+++


「……どうして?」


薄暗い

街灯の下、


才能側のトビネズミは

呟きます。


しとしと続く

細雨の中、


何度確認しようとも、


彼女の傘は

ぼろぼろに、


凄惨に

引き裂かれていました。


頭では

泣かないと

決めたのだけれど、


心は

少しずつ、

傾斜していきます。


ところが、

心の奥の氷塊が、

滴に戻り始めた時、


ヒマワリの花が

ふわふわと、


彼女の周りに

咲きました。



「ほらね、

 涙が

 魔法の素になるんだ!」


ふと見上げると、

そこには


挑戦者のキンギョ。


涙の対価が

次々と、

彼女の傘を

包みます。


まるで

魔法をかけられたように、

目を丸くする

彼女の前で、


まるで

正義のヒーローのように、

彼は

力強く言うのでした。


GiftedHero / IROKACOLORIS

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